8年ほど前、
営業で活躍しその後、介護職の部下として入社したAさんという職員がいました。
Aさんは介護職としては「後輩」でしたが、
私にとっては人生の「大先輩」。
Aさんから何か得られるものはないかと、
営業活動について話を聞いたことがありました。
質問は単純、
「どうやったらお客様の心を掴み、営業成績を上げられたのですか?」
Aさんはこう言いました。
「あのね、お客さん獲得に即効性のある方法はないんだ。
ただ、コツコツと。そして「愛情」を見せることだよ。
どうやったら愛情を見せられるか。
恋愛感情のある相手だと思ってしっかりフォローをするんだよ」と。
その一つの方法として、Aさんは「手書きの手紙」の話をしました。
「感謝を伝える時、
好きな相手にパソコンで作った文字は渡さないよね。
今ではラインで気持ちを伝えるけど、
時間がかかっても「手書き」で感謝を伝えるといいよ。ただ相手の気持ちもわからずにストレートに自分の思いを伝えるようじゃダメ。
手書きは時に「雑さ」も見せてしまうから、
字は下手でもいいから、丁寧に」と。
字を書くことが得意ではなかったし、
字が下手なことが沢山ある自分の嫌なところのナンバーワン。
そこから広告紙の裏に字を書き続けたり、
ご利用者様やそのご家族様に宛てるお手紙の時はと、ひたすらペンを走らせました。
すると獲得率はどんどん増え、
どんどん評価も上がっていきました。
梅の里に就職してからも、ケアマネージャー様に
「すごく丁寧にいつも書いてくださっていますよね」
「手書きの文字ってすごくいいですね」
「細やかな方ですね」と、言って頂くことが
多々あります。(お世辞でも嬉しい、ありがとうございます)
今では転職し離れ離れになったAさんですが、
私の心には深く深く、Aさんの記憶が残っています。
もちろん今も同様。
ご体験を頂いた時、
お誕生日の時、
新年のご挨拶の時、
近況報告をする時、
毎月のモニタリング報告の時、
連絡帳の文章を返す時、
まだ達筆とは到底及びませんが、直筆で作業を行っています。
今日もとびっきりの「愛情」が、
ご利用者様へ伝わりますように、とペンを走らせています。
素敵な出会いが増えますように。
デイサービス梅の里
北野